固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、全国でメガソーラーと呼ばれる大規模太陽光発電所が数多く設置されましたが、近年、系統が弱く電気需要が少ない地域では、発電した電気を大手電力会社が買い取らない「出力抑制」の実施が頻発しています。洲本市の「地域貢献型メガソーラー」は売電利益によって過疎地域を活性化させようと設置しましたが、出力抑制によって売り上げが落ち、目的達成に影響が出ています。この難局を乗り越える方法を探ることが、このプロジェクトの目的です。
2017年、洲本市は龍谷大学と連携し、出力1.7MWのメガソーラーを市内に設置しました(事業主体は龍谷大学の教授らが設立した現地法人)。発電した電気は全て売り払い、その売り上げから初期投資分の借金を返済しランニングコストを支払いますが、残った利益部分は全額、洲本市の活性化に資するプロジェクトの財源となります。このような仕組みを持った「地域貢献型メガソーラー」は全国的に見ても大変ユニークです。過疎地域で財政状況も厳しい洲本市にとって大変重要な施設であり、安定的な稼働と売電を期待しています。
https://bankalanka.com/project/floatsolar/
https://www.nef.or.jp/award/kako/h29/p11.html
洲本市内では近年、大規模太陽光発電所を対象にした出力抑制が頻発しています。前述の地域貢献型メガソーラーについても出力抑制で計画通りに売電できなくなり、売り上げは1〜2割減少しました。その結果、売電利益を財源とする数々の活性化プロジェクトが停滞する恐れがあります。
洲本市の地域貢献型メガソーラーが出力抑制の影響を受けない、もしくは出力抑制の影響を受けても活性化プロジェクトを停滞させないための方法を探し出す。
例1.出力抑制中に発電した電気を売電以外の用途に使ったり、蓄電池に貯めておくなど「売り上げを落とさない仕組み」
例2.地域貢献型メガソーラーを応援したい人から寄付を募ったり、活性化プロジェクトを自立自走させるなど「別のところから補填する仕組み」
前述の探し出した方法を実践することで、地域貢献型メガソーラーの目的を達成できる状態にする。
次世代エネルギーパークである洲本市が「再生可能エネルギーを活用した地域づくりの先進地」であり続ける。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/park/enepa2023.pdf#page=49
洲本市は、瀬戸内海最大の島、淡路島の中央に位置し、京阪神からのアクセスが良く、温暖な気候、美しい自然風景、豊かな山海の幸に恵まれ、かつて朝廷に食材を献上していたことから「御食国(みけつくに)」とも呼ばれています。総面積182.38平方キロメートルに40,759人(令和6年12月末住基人口)が暮らしていますが、人口減少が年500人を上回るペースで進んでおり、経済の縮小、高齢化、担い手不足などの深刻な課題を抱えています。また、島内に総合大学が無いため高校卒業を契機とする若年層人口の流出が顕著で、活性の低下や人材不足に拍車をかけています。こうしたなか、本市では、2013年度から「域学連携事業」に取り組んでいます。
https://bankalanka.com/
域学連携事業は、総合大学が無い本市が都市部の大学と協力関係を構築し、学生や教員が泊まり込みで市内の地域に入り、地域の住民や団体等と一緒になって話し合い、考え、汗を流しながら、課題やニーズを把握し、ヨソモノや研究者だからこそ気付く地域の魅力や未利用資源を掘り起し、継続性や賑わい創出に配慮した事業モデルを構築・実践しようとするものです。これまでの12年間で56大学・約1,400人の学生とともにユニークで多岐にわたる成果をあげてきました。
なかでも、龍谷大学は2013年度から本市と連携し「再生可能エネルギーを活用した地域づくり」をテーマの一つに掲げ活動しています。これまで、再エネ条例制定に向けたサポート、竹原集落での自家消費型小水力発電の設置などを手掛け、2017年には農業用ため池に浮かぶメガソーラーを地域貢献型の事業スキームで設置しました(今回のPJのテーマとなっている地域貢献型メガソーラーを指します)。売電利益によるローカルプロジェクトの支援はこれまでで13件、1,100万円にもなります。
https://bankalanka.com/wp/wp-content/uploads/2022/04/UEJjournal38sakurai.pdf
このような取り組みは各方面で高く評価され、令和2年度ふるさとづくり大賞において総務大臣表彰(地方自治体表彰)を、令和6年度第12回環境省グッドライフアワードにおいて龍谷大学政策学部洲本プロジェクトが環境大臣賞(学校部門)を、それぞれ受賞しました。また、総務省自治行政局地域政策課が令和7年度に新設する「ふるさとミライカレッジ」では、本市の域学連携の取り組みがモデルとして紹介されています。
長年にわたる域学連携事業を通して、本市には地域外人材を受け入れる素地ができていることから、近年では大学に限らず、新たなチャレンジを求める都市部の企業や若者も巻き込んだ幅広い連携に発展させています。2021年度には、テレワークやワーケーション等で訪れる企業とともに、本市の資源や魅力を活かした地方創生プロジェクトを創出するプラットフォームとして、株式会社シマトワークス、淡路信用金庫、洲本市の三者で「淡路島ゼロイチコンソーシアム」を設立。2023年度には、淡路島ゼロイチコンソーシアムの活動の成果の一つとして、地域づくりをテーマとする実践型教育プログラムの提供により域学連携を推進する「淡路島クエストカレッジ」が開校しました。
https://workation.life/consortium/
https://awaji-qc.jp/
このように、地域外人材との連携による地域づくりは、非常に多くのプレーヤーの尽力のもと、行政主導型から官民連携型に移行しつつ変化・発展しながら現在まで続く、本市を代表する事業の一つとなっています。
高橋 壱(たかはし はじめ)
洲本市企画情報部企画課政策調整係 新エネ・域学連携担当係長
生まれも育ちも洲本市(旧五色町)。黒毛和牛を飼育する両親のもとで育ったため、牛や農業機械の扱いには自信あり。2000年4月に入職。再生可能エネルギーは18年、域学連携は12年、ずっと担当しています。
メガソーラーを設置しても電力会社のみが利益を得るモデルも多かった中、地域に利益が還元される新しいスキームで誕生したのが、洲本市の「龍谷ソーラーパーク」でした。利益のほとんどを地域に還元するメガソーラーは、今も全国的に珍しく、このモデルに関わること自体、地域の財源を考えていくにあたって示唆がありそうです。
同時に、出力抑制に悩んでいるメガソーラーも多い近年。今回のプロジェクトを通じた知見は、洲本市のメガソーラーだけでなく、全国の近しい発電所の希望にもなりそうです。専門知識がなくても、再生エネルギーに関心がある方はぜひリサーチに力を貸してほしいです。
オーナーは洲本市市役所の職員である高橋さん。自治体職員がオーナーになっているプロジェクトはBeyondersでも珍しいです!高橋さんは域学連携も長年担当されています。地域と、民間や大学の共創に関心がある方にも、学び多いプロジェクトになると思います!
所在地: | 兵庫県洲本市本町3丁目4番10号 |
---|---|
従業員数: | |
売上・予算規模: | |
事業内容: |
市役所 |
報酬プラン | |
---|---|
採用予定人数 | 最大4名まで |
こんな人に来てほしい! |
大学生などの地域外人材との共創が進む洲本市を応援したい人。淡路島の食・文化・自然が大好きな人。電力事情やメガソーラーに詳しい人。リサーチ力のある人。補助金や寄付金を獲ってくるのが得意な人。作文が上手な人。プロジェクトマネージャーができる人(私自身が慣れていないため)。
|
個別説明会 |
|
オンライン面談候補日 |
|
キックオフMTG候補日 |
|